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「あったあった。この財布返すよ!」
彼女がコレトの財布を取り出す。コレトに見せつけるようにして。
「あ!僕の財布!」
コレトがその財布を取ろうとすると、ヒラリその手をかわす。
「ただし!条件がある!」
にひっと笑うと、財布をちらつかせながらコレトの顔面に近づき、こう言った。
「ウチらに外の世界を教えること!それが条件!」
「……へ?」
きょとんとするコレト。それはあまりに予想外過ぎた。
「そ、外の世界?」
一瞬頭が固まる。きっと彼女が言っているのは街の外の話だろう。それは分かっていた。だが何故そんなことを知りたいのか疑う気もためらう理由も正直なかった。
「そう!外の世界!どうする?教える?教えない?」
「お、教えるよ!教える!」
コレトは財布欲しさにイエスとこくこく頷く。お金が無ければこの先不安で仕方がない、それは今のコレト見ればわかるだろう。
「ふっふーん☆おっけー!契約成立っと!」
ポーンとあっけなく財布を返す彼女。コレトは慌てて、抱えるように財布を捕まえる。
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