49人が本棚に入れています
本棚に追加
(うぅぅ……。お腹、減った……)
店の入り口付近で立ち止まると、偶然右から覚えのある声が聞こえてきた。コレトはゆっくり声のする方へ首を動かす。
「やぁー。アイツちょろかったなー。間抜けで助かったわー」
「そうそう!あぁいう弱そうな奴から食われていくのよねぇ。格好の餌食ってやつ?」
うししと笑う女性。無邪気な小悪魔的な笑みはいたずらっ子を連想させる。
「よっ!この盗み上手!」
お調子者っぽく相方を持ち上げる男性。
「でっしょー☆今日はリュウさんの店で……、ゲ」
女性が何気なく前を見た瞬間、上機嫌な笑みがぎこちなく引きつった。どうした?と男性もつられてそちらを見る。
二人の目線の先には財布を盗んだ相手がいた。コレトだ。お互いの目が合うと、コレトの頭に電撃が走った。震える右手で指差し、相手に大声で叫んだ。
最初のコメントを投稿しよう!