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ep:3 ハリとウミ
【午前九時】
(……ェ……………ねぇ。聞こえる?大丈夫?)
ゆっくりと目をあけるコレト。目の前には盗人の女性が彼の顔を覗き込むようにして話しかける。
「あぁ!お前!僕の財布!」
がばっと起き上がると、そこはコンクリートでできた建物の中だった。勿論、見覚えはない。
「ここ……どこ……?」
辺りを見渡すコレト。ずれ落ちた眼鏡をしっかり掛け直す。
一番最初に目に入ったのは壁のところどころにヒビと地図とスケッチ。鉛筆で描かれた風景画はこの街、のようだ。
他にもハンガー掛け代わりになった飛び出た鉄骨や青いビニールシートで目隠しされた奥の部屋は明らかに生活感を漂わせていた。
それで自分はというと。ボロボロのソファーの上につぎはぎだらけのタオルケットをかぶっていた。ちょっと土臭いがそこはまぁ気にしないでおく。
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