神国とか帝国とか公国とか

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さて、ここミトーはバラキでも北に位置する王都だ。 マナシへ行くにはチーバ王国からトウキ帝国を抜けるか、サイマー神国から山越えをするか.... 「どっちみち遠いな」 「ミスト様、帝国は兵隊が多く、獣人は排除の考えが浸透しているので避けた方がよろしいかと」 サクラは何故か物知りだ。 理由を訊いたら、奴隷の頃に世話役の者にあれやこれや聞かされたらしい。 この世界の常識は俺には良く分からないから助かる。 戦闘に関しては、本能で動いているらしい。 生まれ持った素質、才能だな。 「じゃあサイマー神国経由だな」 「はい!」 装備はそれなりに揃えた。 防具は軽くて丈夫な革を素材にした物を。 剣は短剣だけでは心許ないので、ミドルソードを。 ただし、サクラは短剣の方が使い易いと言うので切れ味と使い勝手が良さそうな物を2本で。 テントや寝具、着替えから食材などは全て空間収納に入れたので身軽だ。 「カスピ湖には巨大な水の魔物がいるそうです」 ほう.... 「見た事はないのか?」 「話だけで、ここに来たのは初めてなんです」 ん? んん? んんんーっ!? 「何か波立ってないか?あの辺りがゆらゆらしてるみたいだが....」 霞ヶ浦....じゃなくてカスピ湖の水面が...... 「盛り上がってる!」 ザバーーンっ! バシャーっ! 「きゃっ!」 水しぶきがまるで滝に打たれたようだ。 いや、経験はないが。 「何だあれ?」 水面から黒くてごつごつした山が現れた。 いや...... 「サクラっ!下がれっ!」 シュパッ! 何か鞭のような物がサクラに襲いかかり、それを間一髪で避けるサクラ。 「な、何ですかっ!?」 これは...... ザバザバザバっ! それが姿を現した。 「か、カエル?」 カエルだ。 どっから見てもやたらとでかいヒキガエルだ。 グワアアアアアアッ! ピシュッ! 「舌かっ!」 伸びて来たのは舌だ。 「こいつは俺達を喰おうってつもりか」 カエルだと跳躍力も凄いよな。 「空間収納」 《ご希望は》 「短剣出して」 ゴブリンの群を倒した時の技。 「行け」 化け物カエルに向かって短剣を投げると、それはまるで生きているかのように不規則に飛び、カエルを切り刻んで行った。 ギエエエエッ! 皮膚の厚さがあるので致命傷にはならないが、カエルの戦意は失われているように思える。 カエルは湖に沈んで行った。 「ミスト様、止めはよろしいのですか?」 「ああ、大丈夫だろ......」 バッシャーン! 「うわっ!」 何か変な液体をカエルが噴き出した。 「何だこ....」 足元ギリギリにぶちまけた液体から煙のような物が出ている。
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