番外編:Happy Halloween

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番外編:Happy Halloween

とある日。 仕事中、ちょっとリフレッシュするために休憩スペースに行くと、杏子先輩がいた。 「あら、蘭子も休憩?」 「はい。ちょっと疲れちゃって。」 コーヒーを買って、杏子先輩の隣に行く。 「私も。でも今日は残業出来ないから、頑張らないと。」 「え?今日何かあるんですか?」 「あら?蘭子達はやらないの?ハロウィン。」 そっか、今日10月31日だ。 すっかり忘れてた。 ハロウィンなんて、あんまり意識したことないからな…。 「その顔は、忘れてたのね。」 「あは。まあ…先輩は旦那さんとハロウィンするんですか?」 「カボチャ料理とちょっとした仮装するだけだけどね。友達も呼んで。」 「へ~、楽しそう。」 「蘭子達も来る?」 「え?あの…」 「俺達は遠慮しますよ。」 その声に振り向くと、修哉さんが居た。 「あら、川中も休憩?それとも、蘭子が心配で追いかけてきたのかしら~?」 「どっちもです。」 「川中、本当あんたって…はあ。まあいいわ。蘭子、多分今夜は覚悟した方がいいわよ。」 「え?」 覚悟?何を? 「このムッツリ執着男が、何も考えてないとは思えないもの。」 「ムッツリって…もう、先輩ってば。」 修哉さん、社内では爽やか系で通ってるのに。 「爽やか系が聞いて呆れる程のムッツリ執着具合だわ。」 「酷い言われ様ですね。俺はただ、蘭子の事が好きなだけですよ。」 「あ~、はいはい。とにかく、明日が休みだからって蘭子に無理させないこと!」 「…善処シマス。」 「はあ。じゃあね。邪魔者は馬に蹴られる前にとっとと退散するわ。」 杏子先輩は、何故か溜め息を吐きながら戻っていった。 「蘭子。今日の夜は残業しないようにね。」 「大丈夫だと思うけど…もしかして、ハロウィン?」 「そうだよ。蘭子と楽しめるイベントは全部楽しむつもりだから。あ、衣装も俺が用意してるから、帰ってお風呂に入ったら、それに着替えて。」 「え、仮装するんですか?」 「もちろん。」 「修哉さんも?」 「まあ、軽くだけどね。」 どんな仮装なんだろう。 ちょっと楽しみだな。 ワクワクしていた私は、修哉さんが企んでいたことに気付かなかった。 だから、家に帰ってお風呂から出た私は、用意されていた衣装に愕然とした。 一見可愛い黒のワンピース。なのに… なにこれ。何でこんなにワンピースの前だけ丈がミニなの?! 足ほとんど見えちゃうんですけど。ニーハイも置いてあるけど、そういう問題じゃない。 しかもベアトップ。あんまりない谷間が見えるぐらい、胸元が開いてる。 長袖のボレロが付いてるけど、シースルーだから隠れない。 一緒に置いてあったとんがり帽子で、魔女の衣装なのはすぐに分かったけど… こんなセクシーな魔女の衣装なんて、どこで見つけてきたの? あまりの恥ずかしさに脱いだ服を探したけど、修哉さんが持って行ったのか見当たらない。 確かにここに脱いだ後置いたのに。 …これで修哉さんの前に行くの? 「蘭子?いつまで入ってる気かな?」 ドアをノックする音と同時に、修哉さんの声が聞こえる。 「あの、修哉さん。別の服、持ってきて欲しいんですけど。」 「何で?」 「だってこれ、恥ずかしい…。」 「俺しか見ないのに?」 「だから恥ずかしいんです!」 「ダメ。早く出ておいで。」 少し抗ってみたけど、どうやら修哉さんは本気でこれ以外を渡す気はないらしい。 …仕方がない。見せるだけ見せて、着替えちゃおう。 そう思って、渋々ドアを開けたら、目の前には待ち構えた修哉さん。 上から下まで眺められてしまい、居心地が悪い。 「…可愛い。」 恥ずかしいけど、悪い気はしない。 「それ、着替えちゃダメだよ。着替えたら、お仕置きだからね。」 私の考えなんてお見通しなのか、釘を刺されてしまった。 私と入れ替わりで修哉さんがお風呂に入ってる間に、晩御飯を作る。 カボチャのスープと、カボチャのグラタンとサラダ。 後は、帰りにパン屋さんで買って帰った、カボチャが練り込まれたカボチャの形のパン。 こうなると、サラダだけカボチャがないのが気になって、蒸したカボチャをイン。 うん、これで正真正銘カボチャ尽くし。 グラタンを準備していると、修哉さんがお風呂から出てきた。 「蘭子…」 「わっ。急に後ろから抱き着かないで…って、どこ触って…!」 足をスリスリと触られて、思わず後ろを振り返ると、狼が居た。 …基、狼の被り物をした修哉さんが居た。 「狼…?」 「そう。今日の俺にピッタリでしょ。」 何がピッタリなんでしょう? 嫌な予感しかしないんだけど… 「ね、蘭子。ハロウィンと言えばさ、アレだよね?ってことで、トリックオアトリート。」 「え。」 「お菓子をくれないとイタズラするよ。」 しまった。お菓子の準備するの忘れてた。 どうしよう…お菓子とか、置いてないよ。 「あの、少しだけ待っててもらうわけには…」 「ダメに決まってるでしょ。」 ですよね。 どうしよう。 私が途方に暮れていると、修哉さんが狼の被り物を脱いだ。 「まあ、お菓子をもらったとしても、結果は一緒なんだけどね。」 少し笑いながら、修哉さんの顔が近づいて来る。 軽く触れあった唇は、すぐに離れて行った。 「この服を選んだ理由はね、全部脱がさなくても、蘭子にイタズラできるからなんだけど…今からしてもいい?」 「ご飯、食べないの…?」 「先に蘭子を食べたい。本当はデザート代わりにするつもりだったのに、可愛すぎる蘭子が悪い。」 私は何も悪くないと思うんだけど… 一瞬そんなことを考えていたら、上半身の急な解放感に思わず下を見る。 そこには、見慣れている私の胸。 それを、嬉しそうに揉んでいる修哉さんが居た。 「これさ、本当便利だな。少し下に引っ張ったら、胸出るし。」 そういう目的でこの形になってるわけじゃないよ。 そう言おうと思うのに、修哉さんの手が先端を弾いた刺激で、口からは息が漏れるだけ。 「ふっ…」 「気持ちいい?硬くなってきた。」 「んっ…ふ…」 楽しそうに先端を弾いたり摘まんだり… 完全に弄ばれている。 ちょっとだけ睨むと、何を勘違いしたのか、ごめんごめん、と言いながら、もう硬くなりきっている先端を口に含まれる。 「あっ…」 少し暖かい口の中で吸われて転がされて、足の間がムズムズしてきてしまう。 「はっ…ん…」 「…我慢できなくなった?足が動いてるよ。ここ、触ってほしい?」 そう言いながら、触れて欲しい場所から遠ざかっていく指。 ニーハイの上を軽く撫でられる刺激が、もどかしい。 「修哉、さん…意地悪しないで…」 「意地悪はしてないよ。蘭子に言って欲しいだけ。お菓子くれなかったんだから、言ってくれないと。」 もうイタズラされてるのに…ズルい。 そう思うけど、体は彼の刺激を求めている。 「触って…修哉さんに、触ってほしいっ…」 「まあ合格かな。よく言えました。」 そう言った彼は、何故かしゃがみ込む。 え?と思っている間に下着を下ろされ、隠されていた場所に彼の顔が埋まった。 「やっ…それダメっ。ああ!」 「ダメじゃないでしょ。」 「あっ…んんっ。そこで、しゃべっちゃ…ダメっ!ああっ。」 強すぎる刺激に、足がガクガクと震えてくる。 それでも、修哉さんはやめてくれない。 いやらしく響く水音に、羞恥心も高まってくる。 「やっ、もう…あああ!」 一人高みに昇らされた私の足は、修哉さんに縋らないと立っていられない程に震えている。 「ベッド、行こうか。」 そう言うが早いか、横抱きに抱え上げられた私は、寝室へと運ばれてベッドに沈み込む。 「山本さんには、善処するって言ったけど…ごめん。無理かも。」 ああ。そうか。 杏子先輩が覚悟しろって言ってたのは、こういう意味だったのか。 それに気づいた時には、彼の猛った熱いモノに、貫かれていた。
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