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「エンガチョ!」
我が国には古来から受け継がれているある種の呪詛のことば、およびそれに付随する動作がある。750年以上前の平治物語絵詞にも描かれている仕草で、禁忌と目された相手を己から遠ざける意味があるとされている。
人と人との絆、結びつきが強かった昔なら、その効果は絶大であり、だからこそ何百年もの間廃れずに延々と受け継がれてきたのであろう。
しかし、現代社会では人間関係が希薄になり、とくに都会の大人の間では相手に深く関わらないこと、他人に対する無関心が蔓延していた。集合住宅などでは隣の住人がなにものか知らないなど当然で、ある日突然に隣人がいなくなってもそれに気がつかないことだって多いのだ。
そんな現代でも、多くの相手と強制的に人間関係を結ばされる場所がある。そう、学校である。
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