✙ 僕の名前 ✙

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✙ 僕の名前 ✙

 気付いたら僕は病院に居た。 正確には動物病院。僕は子猫だったんだ。 医者が言った。 「どこもケガは無いよ、元気な子猫だね。おや? オスの三毛猫なんて、珍しいな。」 「そうなんですか?」 「三毛猫はメスばかりで大抵、オスは生まれない。 でもラッキーだね。オスの三毛猫は幸運を運ぶと言うよ」 「そうなんですかー。」 「お?信じてないね。まぁ迷信だけど。 昔は船乗りが幸運で海を渡れるようにって。 オスの三毛猫は大事にされたけどね」 「僕は信じてるよ、だってロマンチックじゃないか。 幸運を呼ぶ猫なんて。」 「・・で、どうする?見た所、野良猫だね。いい猫なんだけど。」 「困ったなー、僕の家は今、猫達でいっぱいなんだ。 大人猫のね、集団。子猫はねー、僕も病院の診察中はこの子に ミルクを上げられないし。」 「ミルク親になりそうなのは、ぼくんちに居ないし」 「ミルクって?」 「3時間おきだよ、どうかした?」 「だったら私がやります!いや、この子。私がもらってもいいですか⁉」  そう言う訳で僕はお姉さんちの子になった。 そして名前を(もら)った。 ―ーーミケ太郎って、そのままじゃあないか。
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