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✙ 幸運を呼ぶ猫 ✙
幸運を呼ぶ猫?
誰が言ったの、そんなこと。
僕。お姉さんの幸運を、呼んでないよ。
半年も過ぎて、僕はひとしきり自分のことは出来る様になった。
生後半年。
まだいたずら盛り。
体つきは大きくても中身は子供。
僕、猫じゃらし、大好きー!
お姉ちゃんの膝が大好きー!
猫缶も好き、散歩も好き。
でも黙って散歩すると怒られるんだ。
怒るより心配される。
大丈夫だよ。車?怖い物って覚えたから。
公園に行くんだ、近所の猫たちに挨拶するんだ。
僕って人気者。
知らないおばさんが煮干しをくれたよ、
いつも用意してくれる。
宝くじ屋のおばさん。
「あら、当たってるわ」
「本当ですか!」
「はい。5000円。もしかしてこの子のおかげかもね、
オスの三毛猫は幸運を呼ぶのよ」
嘘つけ。
僕、いつになればお姉さんに、幸運を呼ぶの?
まだ、呼んでないよ。お姉さんは、あのままだ。
##
ミルクの時間を気にしなくていいのはお姉さんは、
寝たきりのお母さんと暮らしてたから。
昼間は家で、夜にヘルパーっていう仕事をしてるんだって。
お姉さんは、夜も僕のミルクの世話したり、お母さんのオムツ替えをしてる。
休む暇あるの?
散歩して友達になった、ミケ子に聞いてみた。
ミケ子はここらあたりの事は何でも知ってる。
飼い猫もことも野良猫の事も。
近所の人間のうわさも。
##
『ああ、あなた。舞子さんに拾われたのね。
舞子さん、いい人よ。あなた、幸運を呼ぶ猫なんでしょ。
幸せにしてあげなくちゃ』
僕はムスッとした。
出来たら、そうしてる。出来ないんだ!
『どうするのか、自分でも分かんないよ‼』
『あら、人間になってお手伝いしてみたら?』
何、言ってんだ。コイツ。
『近頃の野良は知らないのね、私が野良の時はみんな知ってたけど。』
『ミケ子だって、飼い猫だろ!』
『だから野良猫たちの不思議な言い伝え。月夜の夜は願いが叶うのよ』
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