✙ 月夜の夜に ✙

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✙ 月夜の夜に ✙

 ミケ子が教えてくれたのは、昔からある野良猫たちの言い伝え。 月夜の満月に願いが叶う。 そう言えば、僕のママも言ってたっけ。 僕の願いは舞子さんを幸せにする事。 まず人間になって、いっぱいお手伝いするんだ!                         ##  ミケ子は言った。 『いい?満月の夜の0時0分0秒に星の(しずく)を集めてごらん』 『星の雫?』 僕は(にら)んだ、ミケ子は僕が子供と思って揶揄(からか)ってるな。 『嫌ねー、同じ三毛猫の仲間じゃないの』 嘘くさい。 『そうね、タダの猫じゃダメなの。アンタみたいな幸運を呼ぶ猫だけが それをできる』 『えー、嘘だぁ!』 『あのね、私の兄も三毛で幸運を呼ぶ猫だったわ、人間になれたの。 三毛のオスだから。その人になる魔法ね』 『まず、星の雫を集めないと駄目なの』 『どうやって集まるの!』 『あらー、どうやってだったかしら?』 駄目だ。ミケ子は婆さん猫だ、半分ボケてる。              ##  「ミケ子ー、ご飯だよ」 『あらあら、もうこんな時間。きっとおいしい餌を食べたら思い出すわ』 「あら、すずちゃんも来てたの?」 そう言って、僕にも餌をくれた。 いや違う、すずじゃなくてミケ太郎だってば。 違うちがう、こんな事してる場合か。 ・・とか言ってしっかり食べてる僕って。           
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