gourmet ~美食伯爵~

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チーン。 「はーい、パスタあたため、オッケーでーす。あっしたー」 ちなみに、僕は今、コンビニでバイトをしている。 え、そんなアホな、って? いやいや、古く昔から僕らは、常に獲物である人間の身近に存在し、その時代の社会に溶け込んで生きてきたんだ。 しかし… なんとまあ便利な世の中になったものだ。 例えば、今僕が働いている『コンビニ』。 僕はもともと夜型なので (太陽キライ。灰になるから)、深夜オールで毎日入れる最強のバイトとして、オーナーの一橋源次郎氏(齢75歳)からは、とても重宝がられている。 それにここ、新宿歌舞伎町一丁目では、僕みたいな金髪(パツキン)青目(ブルーアイ)がウジャウジャいるから、全く目立たないんだ。 こないだなんか、 『うっわー、兄ちゃん。そのカラコン、めちゃイイ色。どこ売ってんのー』 なんて感心されちゃった。 全く意味は分からないけど、誰だって褒められて悪い気はしないだろ? ただ… 惜しむらくは、昔みたいに簡単に、僕好みの処女(生き血)が見つからないこと。 確かに、美食家(グルメ)な僕の条件はかなり厳しいが、それでも昔は現代日本(ここ)よりずっと人口の少ないルーマニア(ふるさと)の田舎にだって、ゴロゴロいたのに。 件の処女(生き血)を探すため、人の集まるところを探した結果、歌舞伎町(ここ)に流れ着いたんだけど… もしかして僕は、とんでもない間違いを犯しているのだろうか。
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