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「原因、って、それはちゃんと対処してあるだろう。費用が足りないほどに難民が増えるなんて、ありえない」
「だが現に、そうなっている」
ジルヴェスターは唇を噛んだ。長い思案の末に、小さく頷く。
「わかったよ。個人的に援助するけど、これは内緒にしておいてよね」
「わかった」
個人的に援助、とはいえ、平たく言えば国庫を使うということだ。王だからと個人資産があるわけではなく、そのすべては民が汗水たらして働いた血税なのだから、教会に寄付することにはなんの躊躇いもない。
ゼップルはほっとしたように表情を緩めると、すぐにまた厳しい顔つきになり、一歩後ろへ下がった。
「では、これで失礼する」
「はいはい、さよーなら」
「……早く出て行ってほしそうだな」
「本がいいところなんだよ」
「何を読んでるんだ?」
「「なぜ人はドレスのなかを見たくなるのか~チラリズムにおける美徳と背徳~」
「そんな本を読むな!!」
ひょいと本を取り上げられ、ジルヴェスターはむぅと頬を膨らませた。
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