第二章

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「原因、って、それはちゃんと対処してあるだろう。費用が足りないほどに難民が増えるなんて、ありえない」 「だが現に、そうなっている」  ジルヴェスターは唇を噛んだ。長い思案の末に、小さく頷く。 「わかったよ。個人的に援助するけど、これは内緒にしておいてよね」 「わかった」  個人的に援助、とはいえ、平たく言えば国庫を使うということだ。王だからと個人資産があるわけではなく、そのすべては民が汗水たらして働いた血税なのだから、教会に寄付することにはなんの躊躇いもない。  ゼップルはほっとしたように表情を緩めると、すぐにまた厳しい顔つきになり、一歩後ろへ下がった。 「では、これで失礼する」 「はいはい、さよーなら」 「……早く出て行ってほしそうだな」 「本がいいところなんだよ」 「何を読んでるんだ?」 「「なぜ人はドレスのなかを見たくなるのか~チラリズムにおける美徳と背徳~」 「そんな本を読むな!!」  ひょいと本を取り上げられ、ジルヴェスターはむぅと頬を膨らませた。
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