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あの子がいなくなったと聞いたのは、春の足音が聞こえ始めた頃だった。
内心全く落ち着いてなどいられないのに、どうしてか粛々とこの事実を受け入れなければいけない気がした。
「大丈夫だよ、きっと」
そんな気休め程度の曖昧な言葉は、ただ心をざわつかせるだけだった。
小さな頃から一緒に遊んだ仲で、親戚同士だがまるで実の兄妹のような関係。
住んでいる場所が離れているだけで、会えばいつも笑い合っていた。
それは僕らが大人になっても、変わらない関係であり日常だった。
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