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「今まで7年間、赤丸ケーブルテレビを運営してくれた赤丸直人さまに、町長、町議会、町役場、商店街振興組合より、特別賞を送ります」
「あのー、僕……、私がですか?」
誰かに背中を押された。町会議長だ。町長さんが腕を引っ張るので、マイクの前に立つ。
拍手の音に包まれながら、僕は表彰状を受け取った。
本には僕の作品は載らない。僕の小説投稿際とのアカウントから、授賞式の模様を画像で報告した。また、SNSでも同様の内容を掲載した。
ところが、数日後、須川 《すがわ》 大平君から、スマホでレジ仕事中に電話があった。お客さまを待たせれないので、出るのに時間がかかった。
「赤丸、オマエ、小説投稿サイトやSNSでの名前は何だ?」
「七瀬 夢子。あっ!」
しまった。女性名義で自称、大学生だった。7年前に小学校5年生設定で書き始めた。今は18歳で、高校3年だ。大学受験のため、更新が遅れるとまで書いてしまった。
夢を“こ”わしたくないから、夢子だ。
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