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「前田をキライな人、いくらでもいる。
十三年前、まだ未成年のわたしと関係して彩香が出来て、その彩香がいなくなった。
このことを知ったら、前田をキライな人間は大喜びでしょうね。
だから前田は、このことぜったい知られたくないの」
そんな!ぜったいおかしい。ひどすぎる!
「でもそんなこと言ってたら高木さんが・・・」
「前田の方で会社をあげて探すと言っている。信じるしかないの!
わたしが娘のこと、表に出したらひどい目に合わせるって言われた」
「そんなの犯罪です!」
「法律上、問題ないようにね。
わたしや家族、親戚の家も仕事も奪うことができる。
法律はね。わたしたちには厳しくても、それとは別に、法律を自分のため自由自在に操ることができる人間がいるの。
それが前田。
彩香のこと、心配でしかたないけど、前田の言う通りにするしかないの」
高木さんのお母さん、下を向いた。
ぼく、体中が冷たかった・・・
心臓の鼓動がハッキリ聞こえたんだ・・・
ハッキリ分った。
涙って、なんの前ぶれもなくこぼれてくるんだってこと・・・
泣き声だって出てしまうってこと・・・
「ごめんなさい。心配かけて」
高木さんのお母さんの声、震えていた。やっぱりお母さんだって心配なんだ。
「ごめんね。なにか情報あるかもしれないし、毎日、来てくれる。
夜の八時なら必ず帰っているから・・・
食事も用意するし、お風呂も入ってって・・・
彩香もよく日下部君のこと、話してた。
わたしにとって、我が子と同じなんだから・・・」
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