御使い様

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御使い様

 月渡りの儀式に参加した子供たちは 2月に行われる儀式まで神様の御使いに 成らなければなりません、 珊瑚の海岸でゴミ広いをしたり、 お年寄りの世話をしたり 海や山が荒れた時には なだめたり 困った人を神様の御使いとして助けをしな ければならないのです、 その為に御使い様には おまじないの書いてあるお札が渡され 普通の人が入ってはいけない 神域のお清めをしたりしなければならないのです、 比喜婆さんの中学生の孫の悟君は 7月の儀式で御使い様なってからは 朝早くから珊瑚の海岸の掃除をしています、 年の近い悟君はたかし君とすぐ仲良くなり海のお清めを今日も手伝ってきたのです、 テーブルの上の山盛りのカニはその時に採ってきたものでお婆さんが蒸して夕食になったのでした 「げにげにげに・・げにげにげに」 隣の棟の夕食の準備が終わった悟君は たかし君を夜のお清めに誘いに来たのです、 「たかし君、今日は星窪みに行くぞ、・・」 「ガガガガガーガガガガガーニ・・」 たかし君また秘密場所へ行けるとわかって 食堂の中を駆け出し初めました、 「ガガガガ、ガガガガ・・」 「たかし君、今日はこの島の怪物に逢わせて上げるよ、・・ただしお母さんには内緒だよ・・・」」 「ガニガニガガガ・・」 富富島は堆積した珊瑚で出来ている為 天井に小さな穴が空いた洞窟が沢山あり 大きな洞窟は 星窪みと言われ神様が祭ってあるのです、 天井の小さな穴から差し込む光が 洞窟の中に差し込み洞窟内の湖面に星座を写し出すのです、 「お婆、お札を下げてください」 「お役目ですか?」 「はい!」 「では、御下げしましょう、,」 比喜婆さんは台所の火之神から線香の灰を ひとつまみ掴むと悟君とたかし君に向かって 振りかけておまじないを唱え始めました、 「ユルパルス フニャ 」 「ニヌバブシ ミァテイ バントウ 」 「ミァテク アボヤ ミァテク」 悟君が正座して頭を下げると たかし君も真似して正座しました、 比喜婆さんは悟君の首に御札をかけると 「ありがとうございます!」 と一礼して芭蕉の葉っぱで頭の上を払って 二人を送り出したのです。 !、
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