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珊瑚の洞窟
靴を履いて玄関を出ようとした時、
「たかし、何処に行くの?」
食堂の方からたかし君のお母さんが心配になって声をかけてきました。
「これから、ゲニ兄さんと洞窟に行くんだよ!」
少し不味いと感じた悟君はこう言い直しました。
「お母さん、大丈夫です、いつも行っている
神様にお供え物を持って行くだけです。」
「でも子供だけだと心配ね、」
「お母さん、私が付いていくから大丈夫です、!」
私はまだ珊瑚の洞窟は見た事ないので太鼓判を押した様に大丈夫だとお母さんを説得して二人と出かける事にした、
仏教の普及してない沖縄にはまだ私達が認識してない古層の宗教文化をみられるこも知れない、私はたかし君達とは少し違った意味でワクワクしてきたのでした。
ジェット気流のない、富富島の夜空は
砂のような星で埋めてくされていて東京で
見る星空とは全く違うのです、
本当の幸せを叶えてくれると言う
南十字星を見ながら
私達は珊瑚の洞窟を目指した
真っ暗な森は生物みたいに蠢いている
私達を襲ってくるような気配を
感じさせるのです、
「悟君、蛇とかは大丈夫けな?」
「吉岡さんは蛇が苦手ですか?」
「そうだなー夜は出会いたくはないな!」
暫く歩くと大きなの明かりが海辺の方からこちらに近づいてくる、
「吉岡さん、明かりは大丈夫ですか?」
「状況によるね・・今、近づいてくる明かりは何だろうね・」
たかし君はさっきから
「ユルパス、ユルパス、・」
「ガガガガガ」と呟いている・」
「吉岡さん、さっき渡した線香の束、返してください、」
悟君は線香の束をグルグル回しながら
「ウートゥートゥー クマクラ、
ビンビクドゥ、ウートゥートゥー・」
たかし君も
「ガナシースミティ、ウーダビスーリー・」
「ガニガニガガガガ、ウートゥトゥ・・」
すると線香の煙は渦を大きくまいて前からくる光に向かって行ったのです、
たかし君は興奮して光の方へ向かって行ってしまいました、
すると私の目まで線香の煙が沁みて目の前がぼんやりしてきたのです、
「ビンビクドゥー、ビンビクドゥドゥー・・」
今度は北から浜へ向かって風が吹き始め
前から向かってくる光は消えてしまったのです
「たかし君は大丈夫だろうか?」
私と悟君は光の消えた所に向かって思わず走り始めた、
「あんた達、何してるの煙たいじゃないの!」
「果林さん・」
「あんた達のせいで転んじゃったないの・・」
同じ地区の果林さんは歌手を目指している
女子高生で悟君と同じ御使い様なのです、
「神様の世話は日の暮れる前までに済ませなさいって言われているでしょ、・・」
「今日はたかし君に守り主に会わせようと思って少し遅くしたんだ・・」
「たかし君も自転車を避けきれなくて転んだのよ!」
「果林さん、実は夜の洞窟が見たくて私が頼んだんだよ、出来たら一緒に行ってくれたら助かるんだけど・・・」
「吉岡さんは大人なんだこらから、そういう時は止める方にまわらなくちゃ駄目じゃないですか!」
「一度、珊瑚の洞窟のなかの星座を見たくなったんだよ、申し訳ない・・」
「たかし君は連れてきたのは不味かった、反省してるよ・・」
「出来たら、一緒に来て貰えたら助かるんだけど、・」
「あんた達だけに、たかし君は任せられないから一緒について行くわ!」
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