3-2.親友と楓葉とリボンの記憶

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そして、二年後。二人は美和大学付属中学に入学して、中学生になった。 入学して、数日。 楓は、琴から信じられない報告を受けることになる。 「楓!私、吹奏楽部に入ろうと思うの!」 吹奏楽部。 「えぇ?でも音楽は……」 どう考えても音楽系の部活だ。 音楽を一度辞めた琴がふたたび音楽の道に踏み込む。 楓は不安だった。 人間関係だって難しい、イメージがある。 「大丈夫。吹奏楽は、みんなでやるでしょ。一人じゃないんだよ!」 孤独の音楽が一番の苦しみだった。 しかし、吹奏楽は大人数で音楽を奏でるものだ。 それならできる。 琴には自信があった。 とすると、楓の決断は一つだった。 「じゃあ、俺も入る」 「えっ!」 「特に何に入ろうか決めてなかったし……嫌?」 もう二度と琴を孤独にしてはならない。 そのために共に音楽を奏でる仲間になろうと楓は決意した。 「んーん、全然!むしろ楓と演奏できるなんて楽しみ!」 一瞬驚いた表情を見せた琴だったが、すぐさま笑顔になった。 ずっと隣にいた幼馴染が、今度は演奏者として側に居てくれる。 琴にとって嬉しい以外の感情は無かった。 「なら、よかった」 楓はそう呟いて、琴の笑顔に安心した。
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