3-2.親友と楓葉とリボンの記憶

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美和大学付属中高吹奏楽部は部員数が少なかった。 そのため、中学生も、高校生も共に活動している。それでも全員で40人弱だ。 前年度の吹奏楽コンクールの結果は高等学校A部門で県大会銀賞。 この壁を破ったことは、創立以降一度もない。 「これ、今年の課題曲だから一応渡しておくね」 四月の末。 先輩はそう言って琴に打楽器の課題曲の楽譜を渡した。 この年、課題曲に選ばれた曲は『マーチ「ベスト・フレンド」』だった。 コンクールで演奏する曲の楽譜を渡された。 それは、琴が一年目からコンクールメンバーに選ばれた事を意味する。 「琴、すごいね」 「そんな、たまたまだよ」 新入部員の全員が初心者で楽譜の読み方から教えられる中、ピアノをやっていた事は、あっという間に一人、前に出る。 楓は幼馴染として誇りに思った。
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