3-2.親友と楓葉とリボンの記憶

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「俺もがんばるよ。一緒にコンクールに出たい」 クラリネットパートは人数が居たら欲しいけど絶対いなきゃいけないというわけでもない。 と言ったパートだった。 クラリネットを吹くことになった初心者の楓がコンクールに出られる可能性は高くはない。 それでも、琴が舞台に立つのならば、自分もその場に居たい。 そう思っていた。 それから楓はとにかく練習をした。 楽譜の読み方から、音の出し方。 まずは、初心者を脱出しなければ。 そうしなければ琴と『マーチ「ベスト・フレンド」』を吹くことはまずできない。 放課後はもちろん、朝練も全て出席し、基礎からとにかく練習した。 そんな真面目な態度に高等部の先輩や顧問からは「他の一年生は逢葦君を見習うように」と言われるまでになった。 しかし、二年生との一年分の実力の差を埋める事は出来なかった。 結局、コンクールが始まる八月まで楓に課題曲と自由曲の楽譜を渡されることは無かった。
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