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音が増えて、ミルフィーユのように重なる。
分厚くなったメロディは親友の孤独など、もはや感じさせない。
自分が舞台に居なくても、彼女は孤独じゃない。
あんなに楽しそうに音楽を奏でている。
それでいいじゃないか。
琴の幸せを考えれば。
それでも琴は、あの舞台に一緒に立ちたかった。
自分が、琴を孤独にしたのに、その罪を償いたかった。
琴のいう「みんなで作る音楽」の「みんな」に入りたかった。
『マーチ「ベスト・フレンド」』を奏でる、親友の一員でありたかった。
そんな不純な気持ちで練習していたから、神様は自分を舞台に立たせなかったのかもしれない。
楓のいる舞台裏のように真っ暗でじめっとした心とは裏腹に、舞台上の琴はライトを浴びて笑顔で打楽器を叩き、輝いていた。
──良い結果が出るといいな。
それでも楓は、このキラキラとした爽やかな友情を歌う演奏に、希望を持っていた。
琴が、孤独を振り払って舞台に立つなら、「親友」として結果を願わずにいられなかった。
しかし、結果と言うものは残酷だった。
銀賞。
前年度と変わらない結果だった。
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