3-2.親友と楓葉とリボンの記憶

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「だから、その金賞を本気で取る為には代表を目標にするくらいじゃないと駄目だって言っているじゃないですか!」 それに対して、楓はむっとした表情を見せて声を荒げた。 「それとも、金賞取りたいって言うのは嘘ですか?だとしたら今までと変わらない目標でやっていけばいいですよ」 普段は物静かな楓が高校生の先輩相手にまくしたてるなんて初めてだった。 音楽室はしん、と静まり返る。 包む空気は少し冷たくひんやりしたものだった。 言っている事は最もだった。 部員全員が心の中で「金賞が欲しい」と思っていたからこそその気持ちは分かった。 まして、模範生の楓の言う事だ。 中学生の部員たちは頷く者も多かった。 先輩達は中学生の後輩に言いたい放題言われて顔を顰めた。 次には楓に「生意気だ」と非難の声が飛ぶのではないかという、時だった。
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