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「綾峯高校行くのはやめる。高等部に進むよ」
「琴……本当にいいのか？」
「いいよ。私だって、今のみんなと吹奏楽、続けたいもん」
名門校進学のチャンスかもしれないのに、それを棒に振る。
それでも、楓の傍に居たい。
あの日「琴ちゃん、行かないで！」と叫んだ子供よりもずっと低い声だったけど、同じ事を言われたなら、私は楓の隣を選ぶ。
そして、楓と夢を叶える。
それが琴の決意だった。
その決意を誓うように楓に腕を差し伸べた。
「だから、来年からもよろしくね。楓」
「あ、あぁ……」
楓は少しだけ、狼狽えて手を取り、夢を誓った。
それからだった。
楓が変わったのは。
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