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「違う。もう一度だ」
楓は後輩たちに指導をしていた。
高等部と中等部では授業の終わる時間が違う。
高等部の先輩たちが来るまで、中等部の後輩たちの面倒を見るのは三年生の役目だった。
ただ、楓の指導は厳しいものだった。
言葉ことそこまで強いものではないが、納得いくまで何度も繰り返す。
自分に合わせられるようにしていく。
そんな練習に弱音を吐く後輩も少なくはなかった。
琴もそんな様子を度々目にしたり、後輩たちがこぼす愚痴をフォローしていた。
しかし、遂には後輩たちも「琴先輩、何とかしてください!」と琴に楓を説得するよう頼んだ。
自分でやれ。
と思っていても、琴は『共に音楽をする優しい仲間たち』の願いを断ることは出来なかった。
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