3-2.親友と楓葉とリボンの記憶

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「違う。もう一度だ」 楓は後輩たちに指導をしていた。 高等部と中等部では授業の終わる時間が違う。 高等部の先輩たちが来るまで、中等部の後輩たちの面倒を見るのは三年生の役目だった。 ただ、楓の指導は厳しいものだった。 言葉ことそこまで強いものではないが、納得いくまで何度も繰り返す。 自分に合わせられるようにしていく。 そんな練習に弱音を吐く後輩も少なくはなかった。 琴もそんな様子を度々目にしたり、後輩たちがこぼす愚痴をフォローしていた。 しかし、遂には後輩たちも「琴先輩、何とかしてください!」と琴に楓を説得するよう頼んだ。 自分でやれ。 と思っていても、琴は『共に音楽をする優しい仲間たち』の願いを断ることは出来なかった。
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