3-2.親友と楓葉とリボンの記憶

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なぜ、断れなかったのだろう。 これ以上部活の雰囲気が悪くなるのが嫌だったから?そのためだけに、楓に文句を言えるのだろうか。 「分かっているだろう。もっと上手くならないと、今のままじゃ金賞すら難しいって。それなのにわざわざ俺に文句を言うのは何で?それは本当にお前の本心なのか?」 「分かっているよ。そんなこと。私は」 「みんなで楽しく音楽がしたい?結果がどうであれ?」 むしろ、楓は正論を言っている。 皆楽しく。 なんて、結果次第で最後には苦い思い出になりかねない。 結果が悪ければ「楽しく」ない。 楽しさなんて、それくらい脆いものだ。 現に、今まで二度、銀賞に終わった後、口では「楽しかったね」なんて言えたが、表情は暗いままの部員をたくさん見てきた。
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