3-2.親友と楓葉とリボンの記憶

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「違う、そうじゃない。これは俺のエゴだ」 楓は真っ暗になった目の前を照らすようにはっきりと否定した。 「それに、俺は独りにならない。お前が隣に居てくれれば」 「楓……」 「だから、一緒にこれからも演奏してくれ」 「うん」 一番恐れていたのは部活の事を一番に考えていた楓が孤立すること。 彼の周りに誰もいなくなった時、この部活はいよいよ衰退の一途を辿る。 そう、危惧していた。 けれども、杞憂だった。 あぁ、楓なら大丈夫だ。 私がいる限り一人にはならない。 琴は安心した。 そうだとしても、親友が後輩から誤解を受けるのはあまり喜ばしいものではない。 誤解して欲しくない。 そう思った琴は口を開く。 「……けど、淡々と「違う」しか言わないのは良くないと思うんだ」 「苦手なんだよ。話すの……」 痛いところを突かれて、楓は頬を掻きながら言い訳をした。 そんな楓をみて、琴は「じゃあ、さ」と笑顔を見せて提案した。 「私もしっかりフォローするからさ、楽しくかつ、良い終わりを迎えよう!」 琴は、楓の隣に自分が居れば「楽しさ」が最後まで持続するものだと確信した。
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