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そして、二人は中学最後のコンクールに挑む。
「今年は、赤なんだね」
ふいに琴が呟いた。
突然色の名前を零したことで、楓は首を傾げた。
「何が?」
「リボン」
琴の手には安全ピンのついた赤いリボンが握られていた。
「リボンの色なんて、気にした事なかった」
「去年は黄色で、一昨年は緑だったよ。楓、つけてくれたじゃない」
一年生の夏。
スタッフとして楓は琴の方にリボンを付けた。
つけた本人なのに、色なんてすっかり忘れていた。
きっと、結果が良くなかったからだろう。
「貸して」
「えっ、おい」
琴は楓のリボンを半ば強引に手に取った。
そして、その赤いリボンを楓の演奏着の左肩に着けた。
「今年は、忘れないようにつけてあげる」
「……結果が良ければ忘れない」
「じゃあ、忘れられない色にしようね」
来年のコンクールで、去年のリボンは赤色だったねと言えるように。
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