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美和大学附属中・高等学校の演奏順が来た。
楽器を持ったメンバーは明るいステージに出る。
赤いリボンが眩しい照明によく映える。
課題曲のマーチの後に演奏するのは『楓葉の舞』
銅鑼の音が静かに曲の始まりを告げる。
その後にチャイムが一度音を鳴らすとすぐに、クラリネットがメロディを奏でる。
打楽器とクラリネットによって繰り返し紡がれるフレーズは、優しい風になびく葉のようで繊細なものだった。
テンポが上がると、吹き荒れる風に、葉が舞い上がる。
金管軍によって勇ましく奏でられるメロディがどこか勇気を持って行動した、変わった楓のように琴は聴こえた。
どんなに荒れ狂う強風の中でも、強い赤に染まった楓の葉。
その色は、最前列で、指揮者の目の前でバンドを導くように吹く親友の音は、肩のリボンのように赤く染められたようだった。
一度、静かになり、木管群のメロディに落ち着く。
そこから、もう一度金管が入り、曲は盛り上がりを見せた。
しかし、今度は荒れた風邪じゃなくて、心地よさを含んだ秋の風。
バンド全体で奏でる感動的なメロディが会場を包み込んだ。
──なんだか私たちみたいだな。
演奏しながら琴は、楓の事を思い出した。
荒れるような言い合いをしかけることもあるけれど。
大丈夫。
二人ならば、一緒ならば希望のある未来へと突き進める。
楓に対する信頼の気持ちを込めるように琴は演奏をした。
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