3-2.親友と楓葉とリボンの記憶

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「プログラム三十二番。美和大学附属中・高等学校」 「ゴールド金賞」 全身の肌が粟立って、胸の奥からかぁっと熱くなる感覚。 金賞。 二年間目指していたものが、初めて手に入った。 キャー!と歓喜の声が会場を包む。 「琴!」 「楓!私たち、ようやく」 夢じゃないよね?と確認したくなった。 中等部最終学年にして、遂に金賞を獲ることができた。 「続きまして、来る八月二十五日に行われます、中国大会への推薦団体を発表します」 支部大会への推薦団体が発表される。 あぁ、そうだ。金賞団体の中から選ばれるのなら、今年は自分たちにもチャンスがある。琴はもしかしたら、と期待しながら聞いた。 が、美和大学附属の名前は呼ばれなかった。 「来年は支部大会に行こう」 今度こそ本当に、支部大会へ。 新たな夢を掲げて中等部最後のコンクールは幕を閉じた。
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