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私のせいで、楓は、私のそばを離れられない。
中学の時から「琴に追いつきたい」と楽器ばかりを演奏して、家の事だって、大変なのに。
全部、全部、全部、私のせいで。
「琴先輩?それ……」
呼びかけられて、ハッとする。
「あぁ、ごめん。けど、渡部君は今の楓に憧れているんでしょう?」
「あ、えぇと、はい……」
「なら、それでいいじゃない。楓が楓のままでいるのなら」
楓が今の楓のままでいるために、私は楓の傍にいる。
それが、楓を変えてしまった、私にできる罪滅ぼしだから。
そうだ、お父さんに頼んでいた『オーバーラン』のアンサンブル版の編曲はまだかなぁ?
あれを楓と演奏できたら、一緒に全国大会まで行けたなら、その時は──
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