3-3.踏切と進む道

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楓は何も言わずに坂を下った。爽介はそれに付いていく事しか考えていなかった。 きっと病院に行くのだろう。そう思っていた。 しかし、向かったのは明らかに病院の方向ではなかった。 駅の方へ向かっているのかと思っていたけど、見慣れない景色。 二人はアスファルトの上を一歩、また一歩進んでいく。 「ここ、どこですか?」 何を考えているか分からなくて不安になり爽介は楓に問う。 しかし、楓はそんな爽介の問いを無視をする。 無視、と言うより「どこへでも付いていく」と言う言葉を信じて答えないだけなのかもしれない。 楓は足を止めた。車どおりが少ない狭い道路の途中だ。 この先は踏切と線路がある。 田舎特有の、不思議な空間だった。 楓は道の端でスマホをいじり始めた。 日が暮れて、紺色の景色をクリーム色の街灯が照らす。 少しだけ肌寒くなってきた。 「ねぇ、楓先輩」 それから十数分、流石に痺れを切らして爽介は二度目の問いかけをする。 スマホを見ていた楓は何かに気づいたように「そろそろだな」と呟いて、足を動かした。 楓は、線路の手前に立つと、 「お前、どこへでも着いていくって言ったな」 「えぇ」 踏切がカンカンと警告音を鳴らし、遮断機が下り始める。 それを確認すると、楓は線路に足を踏み込む。 遮断機が二人を隔てる。 楓は数十秒後には電車が通り過ぎるであろう場所に立ち、爽介の方を向いた。 「着いてこれるか?ここに?」
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