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楓から楽譜が渡されてミーティングは終了するかと思われた。
「それともう一つ」
音羽が付け加えるように言う。
議題はもう一つあった。
「カットについてなんだけど。」
「カット?」
「うん。今までの録音を見てみると、演奏時間が五分十秒だから……」
「そういう事か。」
音羽の説明に昇流が納得する。
他のメンバーも理解を示した表情をみせた。
爽介以外は。
そんな爽介に気づいて佳貴が捕捉で説明する。
「爽介。アンサンブルコンテストの規定では五分以内に収めないと失格になっちゃうんだよ。」
「そうだったのか……。」
「だから、この曲の一部をカットして五分以内に収めなきゃならないの。」
最低でも十秒分、オーバーランの楽譜で演奏しない場所を作る。
スコアとにらめっこしてカット部分を考える。
それでも、フレーズとフレーズが緻密につながった曲は、なかなか千切る場所を考えることが難しい。
メンバーは頭を抱える。
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