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「今、俺がチューバをやっているおかげでこのアンサンブルに必要とされるくらい評価されているんだ。」
チューバを初めて三年間。
先輩から吸収できることは全て取り入れてきた。
今では部に欠かせない、バンドをどっしりとした低音で支える、大黒柱のような存在となっていた。
楓はそんな昇流を評価してアンサンブルに誘った。
「きっとそれは俺にしかできなかった。だから爽介。お前もきっとできるよ。」
「俺……にも。」
「鍵盤、今は苦手かもしれないけど、やってよかった。自分にしかできなかったって思えるようになるさ。絶対。」
そう言って、経験者は白い歯を見せた。
「コンバート。大丈夫な気がしてきました。」
昇流に対して爽介はハッキリと言い切った。
しかし、すぐに「ただ……」と続けて、困った顔をする。
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