4-1.一番かっこの行方

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昇流と音羽と別れた後、爽介と佳貴は少しの間、二人で自転車を漕ぐ。 分かれ道に差し掛かったところで「じゃあな」と解散をしようとした時だった。 ふと、佳貴が爽介を呼び止めた。 「爽介。」 「ん?」 「君に伝えようと思っていることがある。」 「何だよ、改まって。」 暗がりでも分かる。 佳貴は真剣な表情をしていた。 いや、真剣と言うよりも、心苦しそうだった。 何かを迷っているかのような。 「……正直伝えるべきか迷っている。」 「なんだそりゃ。言いにくい事なのか?」 「うん……。」 佳貴の言う『伝えたいこと』が本人にとって口にし辛い事である以上、無理に聞くのは良くないとは思った。 しかし、もしかしたら今日の演奏の事かもしれない。 佳貴が言いづらいのは爽介に気を使っているからかもしれない。 そうだとしたら、もう一度音楽の世界に誘ってくれた親友なんだから、はっきりと言ってほしい。 「演奏の事なら何言われても大丈夫だから言ってみろって。今日の演奏が酷かったのは自覚しているし。」 「それ、なんだけど。」 案の定、今日の演奏の事だった。 佳貴は一度、咳ばらいをして間をおいて、爽介の方をじっと見た。 「楓先輩だと思うんだ。」
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