71人が本棚に入れています
本棚に追加
/349ページ
「だから、俺に伝えたのか。」
「そうだよ。」
楓の現状と琴の役割を爽介に伝える。
それはつまり。
「爽介が琴先輩のやってた『楓先輩とのつなぎ役』をすれば良いってこと。」
爽介が、完全に琴の穴を埋めなければならない。
「……簡単じゃねぇか。」
「え?」
突然突き付けられた真の指令に爽介は、顔をあげた。
口角を上げて、勝気な表情を見せる。
そこに、不安という曇ったものは一つもなかった。
「今までの録音死ぬほど聴く。琴先輩の演奏、完璧にやってやるよ。」
決意を言い放った。
その様子に、佳貴はすぐに笑顔を見せる。
「鍵盤、苦手じゃなかったのかい?」
「うるせぇっ!そんな事言ってられねぇよ。」
いつもの軽口にツッコミを入れる。爽介はやる気に満ちていた。
「頑張ろう。」
佳貴は、笑顔で言った。
爽介らしい決意を少し喜んでいるようだった。
最初のコメントを投稿しよう!