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「どうやったらこんな演奏になるんだろうな。」
勿論いい意味で。
自分に、この演奏ができれば。
合わせる事に関して、ずば抜けている琴の演奏がしたかった。
学祭のシングシングシングで爽介がドラムを好きに叩いたように、楓にも好きに、楽しく演奏して貰えれば最高だ。
それこそ、この録音の琴と楓のように。
何度も何度も、録音を巻き戻して同じ箇所に耳を澄ませた。
「おい、星見。早くしろ」
「え?」
準備室のドアが開き、楓に呼びかけられてハッとする。
「合わせだ。」
「あ、すみません。」
もうそんな時間だったのか。
何度も時間を戻していても現実の時間は進んでいる。
爽介は、すぐに楽器を用意して、合わせの準備をした。
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