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「じゃあ、一通り最初から通します。」
音羽の指示と、一二の合図で通しが始まる。
死ぬ気で叩く。
爽介はいつもより気合が入る。
何かに取り憑かれたように集中した。
フレーズ、音、全てを琴先輩のものその物にしてしまおうという勢いだ。
楽譜をもらって二週間。
何度も聴いた録音の記録と、琴と過ごした記憶。
脳内のすべてを総動員して爽介は叩いた。
曲のすべてを吹き終わり、楓は、楽器から口を話した。
眉間に皺を寄せて、おびえたような表情。
そして、震える声で爽介に対して、問う。
「星見……どういうことだ……。」
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