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どういうことか?
質問の意図は、どう演奏したかという
「じゃあどうすればいいんですか?俺は、楓先輩の演奏に合わせようと思って。」
「それはわかる。けど、琴の演奏をやれとは言ってないんだよ。」
「でも、そうするしかないじゃないですか!」
突破口はこれしかない。
そう思っていた。そのはずだった。
原因は、楓にあるのだから。
「いつまでも、楓先輩が引きずってるから演奏に支障が出てるんじゃないですか?だから俺が琴先輩の演奏を……」
「黙れ!」
図星を刺された楓が叫ぶ。
強い瞳で睨むが、震えている。
「楓先輩……少し、落ち着いてください。」
咄嗟に佳貴が窘める。
その声にハッとした楓は睨むのをやめた。
「悪い……。」
ボロボロになって、壊れそうな奏者から奏でられるのは、消え入るような音だった。
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