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合わせが終わり、楓は早々に楽器を片付けていた。
まるですぐにこの場から離れたいかのように。
「佳貴ごめん。今日は先に帰る。」
「あぁ、分かったよ。」
部室の外は雨が降っていた。
土砂降り、とまではいかないが、季節柄風邪を引きかねない冷たい雨には傘が必要であった。
ビニール傘越しに見える楓の背中はいつもより、ほんの少し小さく見えた。
それから暫く歩いて到着した場所は少し大きな白い建物。
あぁ、やっぱり。
ある程度察しがついていた。
楓の行先。
病院だった。
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