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約束の二日後。
午前の講義を終え、爽介が部室に来た時には楓が既に楽器を準備していた。
「早いですね。」
「まぁな……。」
声を返されるが、視線は向けてもらえない。
お互いにどこか居心地が悪い。
以前までは、仲は悪くともこんなことはなかったはずなのに。
少しして、楽器を組み立てて、音出しをある程度した楓がふいに爽介に声をかけた。
「準備室で、するか?」
「え?」
「楽器移動するの大変だろう。」
「あぁ、それもそうですね。」
珍しく気を使われる。
いや、自分のために合わせをしてもらっているから、楓が気を遣うのも無理がないのかもしれない。
それから直ぐに、楓は楽器と楽譜を持って準備室に入った。
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