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「演奏者としての相棒と、大切に思ってる幼馴染……ずっと隣にいた人が、こんな状態なんだ。精神的にもかなりダメージがあると思います。」
共感されても、それが解決に繋がるのかは分からず、楓は、黙り込む。
爽介には策があった。
哀し気だが、自信を持った、強い、琥珀の瞳を楓にむけて「だから。」と言う。
「今までの演奏は忘れてください。」
「は?」
まるで、学祭の時に自分が言った事をそのまま返されているような気がした。
しかし、爽介の真意は、目的は、別にあった。
爽介が琴ではなく、琴のように合わせる演奏を楓が望まないなら、爽介らしくいて欲しいなら、答えは一つしかなかった。
「俺は琴先輩じゃない。それなら、そうするしかない。」
「出来ない。」
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