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「楓先輩が添い遂げたいのは、音楽ですか?琴先輩ですか?」
楓が添い遂げたいのは、音楽だった。
例え琴が居なくても、一人になっても演奏できるって思っていた。
けど、琴が居なくなった現実はそこまで甘くない。
隣にいてくれた相棒は、もう居ない。
少なくともアンサンブルコンテストは共に出場できない。
音楽と添い遂げるために必要不可欠な相棒を失ってどうすればいいか。
「分からないんだ。」
「分からない?」
「俺は、音楽が好きで、でも、それは琴が居たからで、琴無しの音楽の中で生きてこなかったから、それが分からないんだ。」
「じゃあ……楓先輩。」
舞台に居ない琴に縋ることはもうできない。
それならば。
「俺のこと信じて、背中を預けてみてくださいよ。」
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