4-2.風使いを救う魔法

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「……俺、昔、憧れた演奏者がいたんだ。」 「え?」 なんですか?急になんて言う間も与えずに、楓は語り始めた。 「何度も録音のCDを聴いた。それこそ、擦り切れるくらいに。そいつの演奏がしたかった。」 「なんか……意外ですね。」 楓は孤高の奏者だと思っていた。 最前列で指揮者の意図を汲んだ演奏で他の奏者を導く。 そんな楓が、「この奏者になりたい」なんて憧れで楽器を演奏することに爽介は意外性を感じた。 「でも、できなかった。俺は魔法使いにはなれなかったんだよ。」 「魔法使い?」 違和感のある単語に思わずおうむ返しをしてしまう。
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