4-2.風使いを救う魔法

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魔法使い。 そう言えば兼村先生が言っていたな、楓が合奏中に「俺は、魔法使いになれない。」と言って楽譜を投げた事。 それに通じるのだろうか? ひたすら考える爽介に対して、楓はすべてを話した。 「俺が高校三の時に東京に、都大会を聴きに行ったんだ。中学の部だったよ。バンド自体はそこまで上手じゃなかった、粗が多かった。それでも、その粗をカバーしてバンドを導く魔法みたいな演奏があったんだ。」 「へぇ、そんな人が……。」 「曲はスク―ティン・オン・ハードロックだった。その魔法使いは、ドラムを叩いていたよ。」 そう言いながら楓は鞄からCDを出す。 楓が四年前から何度も聴いたであろうCD。 爽介にも見覚えがあるものだった。 そこに書かれていたアーティスト名、学校名は爽介の母校のものだった。 楓の言う、魔法使い。 曲名も年度も土地も、そして担当パートもすべて爽介に通じるものだった。 「……もしかして。」 「そうだ。魔法使いはお前だよ。星見。」
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