4-2.風使いを救う魔法

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渡された楽譜には、楓との二重奏、カウンターメロディの部分に「solo」と書いてあった。 「ソロ……?これって」 「お前がソロで俺が裏メロだ。」 「俺が、ソロ?」 楽譜上ではクラリネットがソロで、ビブラフォンはカウンターメロディだ。 爽介は言われた言葉の意図が分からなかった。 「お前は琴とは違う。今までの演奏とは全然違うもので俺も混乱した。」 琴ならば、絶対に楓に合わせる演奏をする。 一糸乱れぬ二重奏。 爽介が初めに目指したものだ。 しかし、楓はそれを拒んだ。 「けど、お前は人を先導する演奏なら誰よりも上手い。」 爽介には、爽介らしく演奏してほしい。 「星見。」と名前を呼ばれる。 爽介は楓の顔を見た。 視線を向けた先の氷の瞳は熱かった。 氷なのに、融けだしてしまいそうなくらい熱がこもったまっすぐな瞳だった。 「お前となら、俺はさっきの演奏がしたい。」 「……だから、この楽譜を書き換えたんですか?」 「そうだ。」 爽介の魔法を誰よりも信じているから。 「お前の魔法で俺の事を導いてくれ。」 瞳と同じくらいに熱い言葉、いつもの命令口調ではなく、願うような声。
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