4-2.風使いを救う魔法

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「俺が、楓先輩を……。」 「そうだ、俺が誰かに合わせるなんて、お前くらいだ。」 「俺だけ……」 今まで多くの奏者が楓の演奏に合わせてきた。 そして、楓は何度もバンドを導いてきた。 けれども、そんな楓が唯一、導く事を全て任せることができる奏者。 それが、楓の憧れた魔法使い、爽介だった。 「それくらい信じている。せっかく、そんな魔法使いと演奏できるんだ。思い切り甘えさせてくれ。」 楓が少しだけ笑う。 その表情は柔らかくて、あたたかい、初めて見るような表情だった。 こんな風に、笑うんだ。 爽介は一瞬その笑顔に目を取られた。 「……星見?」 暫く黙っていた爽介を心配するように楓は問う。 「……楽譜書き換えるって、無茶苦茶でしょ。」 楓の呼びかけに爽介はようやく言葉を発した。 すると、顔を上げて笑い出す。 「あー、面白いなぁ!こんなの作曲者に怒られますよ。」 遂に頭がおかしくなったのではないかという心配は無用だった。 爽介の笑顔に楓は「そうかもな。」と相槌を打つ。 「けど、俺とお前の二重奏ならこっちの方がいいだろ。さっきの演奏もそうだったし。」 「確かにそうかもしれませんね。」 ソロとカウンターメロディ。 きっとこの二人なら大丈夫。 互いに確信する。 「……頼んだぞ。」 「はい。」 少ない言葉の誓いが静寂の中で響いた。
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