4-2.風使いを救う魔法

27/27

71人が本棚に入れています
本棚に追加
/349ページ
出てきたのは質問だった。あの演奏はどういうことなのか。 今までと全然違う。 むしろ、楽譜の指示とも違う演奏を二人以外はどう思ったのか。 焦る爽介を横目に楓が淡々と経緯を説明する。 「星見がソロで俺がカウンターメロディ、って解釈で演奏することにした。」 「なんで、そんな事を……?」 「そっちの方が良いと思ったからだ。」 答えは簡単なものだった。 楓と爽介の二人なら、この解釈が一番最善である。 二人とも分かっていた。だからそうした。それだけだった。 「あの、どうでしたか?」 演奏中も表情が変わり、暫く黙り込むメンバーから爽介が今すぐにでも聞きたいのは「賛」か「否」か。 最善を尽くした演奏は、他の5人にどう映ったのか?それだけが知りたかった。 「これも有り……というか、この二人ならこっちの方が良いかも。」 「むしろ、これがベストなんじゃないか?」 返ってきたのは賛美の言葉だった。爽介は思わず表情が緩み、目を輝かせる。 それに対して楓は「当たり前だろう」と言いたげな視線を送った。 「これでいきましょう。」 二人の決断は七人の決断となった。
/349ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加