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「あ、あれじゃないか?」
しかし、その心配とは裏腹に、野乃華の姿はすぐそばにあった。
「ほんとだ、おーい!野乃……」
「待って。誰かと喋ってる」
野乃華と随分と楽しそうに話をしているのは演奏着を着た若い男だ。
つまり、このコンテストの出場者という事になる。
男の着ていたブレザーを
「あれ、国立大の演奏着じゃないか?」
「え、という事は……」
国立大学と野乃華の接点。
一つしかない。あの男はもしかして。
「あれ?みんな何でそんなとこに隠れてるの?」
「あ、いや……その」
男の正体に気づいたとき、野乃華が三人に気づいてしまった。
横に居る男も、こちらを見ている。
「野乃華、彼らは……?」
「うちのサークルの同期だよー。今日、一緒に吹くの」
男に向けた声は同期の三人に向けるものとは少し違っていた。
間違いない。と全員が確信する。
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