4-3.オーバーラン

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楽譜の横に書いてある名前の人物は琴の父だ。 明は驚く爽介に手を差し伸べた。 爽介もその手を取り、握手をする。 「私の曲を演奏してくれてありがとう」 礼を言われた。 作曲者直々に感謝されるなんて。 正直、複雑だ。 もしも、金賞で、代表だったのならば素直に喜ぶ事が出来た。 けれども違う。 それも、タイムオーバーという賞の色もない形でこの曲を終えてしまったんだ。 爽介は手をほどき、頭を下げた。 「……すみませんでした」 「何を言ってるんだい?私は礼を言ってるんだよ?」 「だからこそ、全国行けなくて申し訳ないなって……」 しかも、自分のせいで。 礼を言われる筋合いなんて、自分にはない。 爽介は俯いて、ぎゅっと唇を噛む。
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