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「それは気にしちゃ駄目だよ」
「え?」
「確かに、結果としてはタイムオーバーだった。けれども君たちの演奏は素晴らしかった。特に、クラリネットのアドリブとその後のドラム。あそこの掛け合いが一番良かった」
クラリネットとドラム……本来だったらカットされるはずだった部分。
爽介が転んでしまい、楓が演奏せざるを得なかった場所だ。
あそこを演奏していなかったら、タイムオーバーにはならなかっただろう。
「さしずめ、五分に収めるためにあの部分をカットするつもりだったんだろう?」
作曲者にはお見通しだった。
五分をオーバーするためカットせざるを得ない楽譜。
曲のつながりからカットさせる事が出来るのは一番かっこだけ。
まるで、最初からこの部分をカットさせたかったかのような気さえする。
思わず楓も声を漏らす。
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