4-3.オーバーラン

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「それは気にしちゃ駄目だよ」 「え?」 「確かに、結果としてはタイムオーバーだった。けれども君たちの演奏は素晴らしかった。特に、クラリネットのアドリブとその後のドラム。あそこの掛け合いが一番良かった」 クラリネットとドラム……本来だったらカットされるはずだった部分。 爽介が転んでしまい、楓が演奏せざるを得なかった場所だ。 あそこを演奏していなかったら、タイムオーバーにはならなかっただろう。 「さしずめ、五分に収めるためにあの部分をカットするつもりだったんだろう?」 作曲者にはお見通しだった。 五分をオーバーするためカットせざるを得ない楽譜。 曲のつながりからカットさせる事が出来るのは一番かっこだけ。 まるで、最初からこの部分をカットさせたかったかのような気さえする。 思わず楓も声を漏らす。
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