4-3.オーバーラン

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爽介は文字通り首を傾げた。 だって、楓の夢見たのは全国大会のステージではないか。 それとも、他の世界があるのか? 問われると、楓は答えではなく、すぐさまヒントを出した。 「琴の見てた世界だよ」 「どういうことですか?」 次から次へと質問しかしてこない爽介に楓は眉間に皺を寄せた。 「自分で考えろ」 面倒になった楓はぶっきらぼうに言い放つ。 「えぇ!?そこまで言って焦らすんですか」 「うるさい。静かにしろ。迷惑」 「ちぇ」 電車の到着の時間も刻々と迫り、他の乗客もホームへと集まり始めた。 そんな中で爽介の大声はマナー違反であると楓は咎める。 結局、楓の夢見た世界は謎のまま、二人はまた元の沈黙へと沈む。
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